用品メーカーらはランチェスター戦略で一点突破するのだ

 ランチェスターの戦略、というのがある。もともとは第一次世界大戦の頃に同名の学者が発見した軍事の際の方程式が元となった戦略であった。それを経営戦略にも応用したもので、弱者が強者に勝つための戦い方であり、一点突破とか、局地戦とかを提唱している。昨年、やたらと取りざたされている断捨離というのも、似たような志向を、こちらは個人生活に取り入れたようなものだろう。

 即ち、無駄な動きを全て整理して、自分の真のテーマのようなものを発掘して、見直して、それに集中するというもののようだ。

 いずれにしても、このランチェスター戦略というのは、発見というか戦略として意識されたのは、それほど過去の世界ではない。が、意外にいろいろなところで利用されているようだ。ある本によると、三国志の諸葛孔明もこの手法を度々使ったようである。

 何せ、彼が仕えた主人たるや、大人物だが文字通りの無一文から身を起した、劉備である。持っている兵数や武器の数も当然に少ない。その中でも、勝利を収めるのだから、並大抵の方法では無理だ。特に、孔明が最初にてがけた、圧倒的な兵力と兵数を誇る曹操軍との戦いでは、敵軍を狭い地形の部分におびき出し、分断させて、潰していったのである。ちなみに、その際に敗れた曹操本人も、若く駆け出しのころは、別の大軍を前にしての戦いで、この戦略を結果として用いており、勝利を収めている。日本では、織田信長が、この方法を使ったようで、桶狭間の戦いは、その典型だと指摘されている。つまり、古今より使われていたのである。

 7色.jpgところで、写真用品である。前から思っていたのだが、写真用品メーカーこそ、この戦略を知らず知らずに使い、大手の総合企業の商品から売上トップの地位を奪っているのである。そのひとつの企業が、フィルターのマルミ光機である。フィルターの専業メーカーとして、カメラメーカーなどの純正といわれる商品に対して、常に独自の工夫を凝らして、まさに一点突破、局地戦において優位にたつ。

 かってとりあげたが、カラーフィルターなどは、その典型である。フィルターの周りにカラーリングするという発想は、まさに一点突破であり、取説的な冊子も敢えて華やかでお洒落な体裁にしており、カメラ女子をターゲットにした局地戦を展開した。これにヒントを得たのか、グリーンハウスも同様の趣旨で、SDカードのカラーバージョンを発売。やはり、局地戦に挑んでいる。

 だが、用品メーカーの辛いところは、このようなランチェスター戦略に則ったような商品を出しても、その部分に競合が押し寄せてしまうところだ。普通は、一点突破した小さな企業と、その部分では負けていても、トータルでは勝利を収めたガリバー型企業が並存して市場が成り立つのである。が、用品業界の場合は、一点突破の部分に、何社もが入り込み、その中で宣伝力や営業力があるところが、ランチェスター王の栄冠を持って行くという特異性があるのだ。

 そのために、各社とも、そうなったら次のランチェスター的商材を狙う。かくして、ニッチだが意外に豊富な商材が広がっていくという図式だ。もともとは、パソコン関連の商品を出していた前述のグリーンハウスなどは、そのような商品を出していった結果、総合メーカーになったような雰囲気もしないではないが。。いずれにしろ、マルミさんも油断できないのだ。

 ともかく、用品メーカーはランチェスター戦略で突破する、のだ。

 ところで、前号のブログ文の中で、ベンチャーの雄であるクロスワンの品川社長が写真業界に参入するきっかけになったラボを熊本県と書いてしまった。が、正しくは福岡県である。大変失礼しました。ちなみに、何故、熊本県と勘違いしたかというと、そこにあるフィルム関係の処理も受け付けるラボがあり、そこの強さも、ランチェスター戦略を応用した例として、頭にあったからだ。。どこの世界も一点突破の例はある。
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