ビクセンのフォトガイダーセットは芯をしっかりとわきまえたビクセンらしい提案の品だ

 やはり、指揮官もしくは上層部全体の能力によって、組織の行き方が決まるというのは確実だと思う。

再来年の大河ドラマは北条義時を主人公にした鎌倉時代の話なのだが。その北条義時の人生最大のヤマ場のひとつは、承久の乱への対応だろう。この乱は、やたらと北条側の立場で描写されていることが多いが、こと後鳥羽上皇側で見ても面白いと思う。上皇方にも、それなりの考えもあったし、不満もあったろう。が、上皇軍の立場で書かれた小説なりテレビドラマは存在しない。場合によっては、上皇が勝利を収めたのかもしれないのにだ。といのも、いくら鎌倉幕府といえども、全国あまねく敬服しているわけではない。南や北の勢力をうまく糾合していけば可能性はなくはなかった。事実、この乱のしばらく後に、幕府は潜在的な不満分子らが後醍醐天皇の呼びかけに応じ、倒されているのだ。

しかし、結果として駄目だった。この要因はいくつもあるだろうが。要は、指揮官および周囲の執行役の面々の至らなさ以外何物でもない。では、どういう点が至らなかったというと、一言で言うと、決断力とそれを維持するだけの覚悟であろう。

その象徴的なのが、上皇側の大将軍の一人であった藤原秀澄の行動である。どうにも、彼は決断力にとぼしく、情けないことに怯懦であった。幅広く布陣しないと恐かったのであろう。美濃国と尾張川あたりに布陣し、自身は墨俣に陣を張るという形で幅広く陣を敷いた。この幅広い陣の敷き方は、もともと強いほうの勢力のやり方だ。少なくとも、既存勢力を打ち破る気のチャレンジャーの取るべき布陣ではない。

ビクセン.jpg一か八か、こういう時は勢力を集中させて、目標を一点に定めて敵の中心部を攻撃すべきだ。事実、上皇軍の中で、唯一といっていいくらいの歴戦の勇士である山田重忠という武将が、集中して尾張国府を攻め滅ぼすべきだと進言したのだが、本格的な戦やリスクに恐れをなした秀澄は採用せずに、挙句の果てには逃げ帰り、上皇には見捨てられてつかまり刑死した。まぁ、本人のことは自分の器の問題だから致し方ないだろう。もし、器に無いと思うなら、その下の弟みたいに戦に関わらなければ、命は永らえた。そのあたりは、自分の選択だ。だが、少なくとも、彼によって統率された山田重忠はじめとする兵士たちは、決断力と覚悟がないばかりに、むざむざ勝てる可能性があった戦で命を落とすことになった。

この決断と覚悟はどちらが欠けてもうまくいかない。例えば、小早川秀秋といえば、後世はかなりのヘタレで描かれているが、どういう経緯であれ、彼の関ヶ原での対処の仕方は間違っていなかったはずだ。決断は悪くなかったのだ。明治時代に入り、ドイツあたりの参謀が当時の布陣の図だけを見て、西軍の勝ちと判断した。その後に、小早川の寝返りの話を聞き、なるほどと納得したらしいが。甘いのだ。

天下分け目などと言われているが、大規模とはいえ局地的な戦なのだ関ヶ原は。仮に、西軍が勝ったとしよう。だが、せいぜい西国方面で勢力を敷けるだけだ。逆に、連合体ともいうべき勢力だったのだから、新たな政府での主導権争いがあり、結局崩れて内乱状態になっただろう。

その点では、用心深い家康のことだから、自分は逃げ帰るだろうし。仮に自分が死んだとしても、備えはきっちりと関東に残してある。大大名として徳川家は残ったろうし、そうなると改めて東を固めた徳川が台頭してくる。そのあたりが、連合体と一個の君主に率いられた軍団との差だ。

西軍にそのままいたところで、小早川もその後の内乱に巻き込まれて、改めて命を落としたかもしれない。いずれにしても、彼が家康についたという決断は正しかったのだ。少なくとも、大きな大名に取り立てられたのだから。では、何が悪かったのかというと、戦後に世間の悪評を気にしすぎて自暴自棄になった点だ。酒に身を持ち崩し、軽率な振る舞いが多く、譜代の家臣は次々と離反。挙句の果てに、一応病死となっているが、なんだかあやふやな理由で命を落とし名門の小早川家も断絶した。決断力はあったかもしれないが、その後、どんな形でもそれを維持する覚悟がなかった例だ。

この決断力と覚悟。これが将に将たる人物の必須条件だ。よく勘違いされるが、なにも自分の能力が優れていなくてもいいのだ。せいぜい、並み以上の業務能力があればいい。優れた人材をうまく使いこなせばいいだけだ。逆に、自分自身が優れすぎている場合は、自分の意志通りに人は動かないのだから。それだけで行きたいのなら、組織は敢えて小さいままにすべきだろう。一人の天才とそれを支えるスタッフという形式で行けばいいのだ。どちらかといえば、今売り出し中の企業であるカニフィルターのロカユニバーサルデザインなどが、業界ではこれに近い。

いずれにしても、こういう点から言えば、写真業界ではビクセンの在り方に注目している。もちろん、指揮者である経営者には、インタビューしたわけではない。が、何か企業の方向性をしっかりと打ち出している。星空を楽しみたくなる文化を創り出すことをモットーという芯を決してぶれさせない。芯がしっかりしているから、いろいろと手を出しているように見えて、やっている範囲は統一している。出す商品も、光学機器のほか雑貨系のものもあるが、それでも芯はしっかりとしている。決断と維持する覚悟があるメーカーだ。

で、そんな同社が直近で提案しているのが、星景写真を手軽に始められるツールセットであるAPフォトガイダー・望遠撮影キットである。セットものをトータルに手軽に提案しているが、やはり芯はしっかりと見据えている商材だ。

まさに、ビクセンは決断力と覚悟を持って星の世界を広めるためのメーカー、なのだ。 しかし・・本当にそうだよなぁ。ビクセンはぶれないと思う。ぶれない生き方は個人でももちろん重要だ。例えば、安い酒場ばかりで、ともかく酔えればいいという決断を貫くのも良いありかたなのだ。。

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