ケンコー・トキナーのメビウスシリーズは日本の底力を感じさせる商品だ

日本人の凄さというのは、どこにあるのだろうか。もちろん、様々な点があると思う。だが、特に優れているのは思うのは、カスタマイズ能力が抜群だということだろう。

昔ほどでないにしても、やはり海外の個人主義に比べると調和を重んじる民族ではある。そのため、メビウスシリーズ①.jpg平均的に皆の能力を伸ばすという教育指針があるせいか、飛びぬけた天才が目立ちにくくはある。だが、そういう調和の精神をもつがゆえに、外部から入れた様々な対象を、自らの中で消化し皆に馴染むようにカスタマイズする力は抜群である。

例えば、遣唐使を廃止した後の国風文化の発達である。外からの知識は入れていた。が、その道を一度閉ざした。そのために、その入れた知識を内部で活用する必要があった。そうして、生まれたのが独特の国風文化となる。これは、仏教に関してもそうで。仏教というくくりのなかに、〇〇宗など、それぞれの特徴ある教えの部分をクローズアップしてバラバラに国内に入ったが。紆余曲折を経て、各々信者を抱えて共存している。さらに宗教でいえば、外来からの仏教と日本国土に土着していた国家神道とは本地垂迹説という理論で、うまくバランスをとった。

さらに言えば、明治の世にあっての憲法である。伊藤博文を中心に、まとめられた憲法は海外のものを中心に国内の風土の状況をうまくミックスさせている。ともかく、カスタマイズする能力に長けているのだ。これは、考えようによっては、非常に優れた資質だ。なぜなら、天才は素晴らしいが。その一人で創出できる量は限界がある。が、外から何かを経て、それを自分のものにして創出する人間は無限に創出できるからだ。日本に乾杯だ。

ところで写真用品である。ケンコー・トキナーが4月14日から発売するのが、メビウスシリーズという天体望遠鏡のセットである。実は、これは、あのトミーテックのBORGのシステムを採用した商品だ。もっとも、BORGと言えばヘリコイドシステムでお馴染みの玄人向けの製品である。このハイレベルの製品の販売に関しては、数年前からケンコー・トキナーが担当しているのだが。今回は、それをそのままではなく、きちんと独自の工夫を加えて、エントリー向けモデルとして発売したのである。それがメビウスだ。もちろん、撮影する際の機能にも十分に考慮したキットとなっている。

また、当然ながら本来はBORGなので、エントリー機ながらハイレベルのユーザーにまで発展ができるようになっている。BORGのシステムを知らないエントリーユーザーをも高みに連れていくことも可能だ。その裏には、ケンコー・トキナーがエントリー層向けにシステムを組んだ状態にしたりとかのかなり努力したのが理解できる。以前に、トミーテックが全面的に展開していたときに、同社の事務所にかなりの頻度で取材に訪れていた。その際に、担当者の方が言っていたのが、玄人向けの同ブランドシリーズ製品を新規客層に広めて、いかに良さをしらしめるかであった。なにか、ケンコー・トキナーのカスタマイズ能力でこれが実現したので、感慨深いものがある。

まさに、ケンコー・トキナーのエントリー層向け天体観測機材のメビウスは日本人の底力を感じさせる商品、なのだ。

しかし、メビウス、つまりメビウスの輪から来る無限の意味か。本当にそうなんだと思う。これからも、ケンコー・トキナーはその持ち味を活かして多くの人が触れられるアイテムを出し続けて欲しいと思う。健闘を祈る。
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