インダストリアのバッグはどこでも輝き人を惹きつけるのだ

「そこのみにて光り輝く」という映画を観たことがある。まぁ、その内容などはどうでもいい。問題は、このタイトルである。これは、実は一般に当てはまらない言葉ではないかと思うのだ。

 特に人間力というものに関してだ。というのも、一箇所で輝いている人間というのはどこでも輝くものである。

 具体的な例を挙げよう。起業する人間のパターンである。今まで、脱サラして起業する例を公私ともに結構見てきたのだが、一応の軌道に乗せていくタイプというのはサラリーマンとしてもそこそこ優秀だったタイプが多い。いち組織人としても、そこそこ実績をあげて輝いていたのだが、さらに発展を期して独立したという感じだ。一方、うまくいかないタイプは、その逆だ。今の会社が嫌だとか、人に遣われるのが嫌だ。上司が嫌いだ、などと不満を根っこに起業するタイプだ。これはうまくいかない。

 117208447_o1.jpg理由は簡単だろう。起業するということは会社を経営するということだ。業務に関わることをやっていればいいというものではない。雑用も多いし。何よりも、対人関係の極致とも言うべき営業をやらないといけない。いや、むしろ営業が根本だろう。与えられた業務に集中できる分、不満を言いながらサラリーマンをやっていたほうが楽なはずだ。そのある意味、面倒くさいことはしなくてもいい業務さえから逃げているのに、その何倍も大変な起業などできるわけがない。一度起業しても、すぐに、その現実を突きつけられて、結局また逃避してしまう。

 もっとも、個人事業主的にフリーランスになるタイプは別だ。なぜなら、どうしても組織に馴染めない体質の人間というのは一定数存在するからだ。知り合いのデザイナーなどは、まさにそのタイプで。勤め人時代は、ストレスで胃潰瘍になり、フリーになってそこそこ有名になり仕事が安定し元気に暮らしている。小説家などにも、こういうタイプはいる。

 だが、ことビジネス社会という土俵で考えると、やはり「どこでも輝く」という人間が成功するということになる。

 これは歴史上の人物を見てもそうだ。豊臣秀吉だって、織田会社の優秀な営業マンだった。もし、信長が本能寺で殺されなかったら、本人はコツコツと優秀なサラリーマンを続けていたはずだ。徳川家康だって、老舗の今川株式会社の優秀な社員だったろう。例は悪いかもしれないが、間宮林蔵だって、優秀な探検家であるとともに、有能な諜報部員だった。さらに、黒田官兵衛だって小寺家の優秀な企画部員だった。斎藤道三については、これは父子二代の業績というのが近年明らかにされたが、その先代のほうは実に優秀な土岐氏の総務部員だった。電力王と言われた松永安左エ門だって、もともとは優秀なジャーナリストだ。例外は、業界紙の方にも書いたのだが、北条早雲で。彼の京都での幕府いわば官庁のサラリーマン時代は伝わっていない。これは、多分、官庁という閉鎖性のせいか記録に残らなかっただけだろう。いずれにしても、どこでも輝く人間が起業を制する、のである。

 ところで、写真用品である。インダストリアというバッグブランドに注目が集まっている。これは、アルティザンアンドアーティストの創業者であるデザイナーの半杭誠一郎氏が立ち上げたブランドだ。同氏は、アルティザンを退任したあとは、カメラマンに転身。そこでも実績をあげていたのだが、やはりゼロからもう一度自身のブランドを立ちあげたところ、ファンがつき売上を伸ばしている。常に使う立場にたち利便性も重視。さらに、そのムダを削ぎ落としたところから来る機能美やファッション性に配慮したバッグなどである。特に、ネオプレーン式のバックパックなど、背負った際に負荷がかからずに、しかもタウンユースの雰囲気もある。もちろん、カメラバッグとして使う分は最高である。本人曰く「カメラを入れるバッグ」ではなく「カメラが入るバッグ」というコンセプトで考えたようだが、この微妙さがなんとなくうなづける。

 まさに、インダストリアのバッグはどこの場面でも光り輝くバッグ、なのだ。

 ちなみに、この欄でも取り上げたことがある真田紐ストラップやハンドストラップ、クリーナー用品などで売上をあげているサンアイの三島社長ももとアルティザンである。在職時代は営業のエースだったようだ。ちなみに、これも売上を伸ばすゲリツブランドのKカンパニーの社長や沖縄のオリエンタルホビーの社長は、もとレモン社の中枢メンバーであった。何か軌道に乗せた起業家が同じ会社に同時期にいたというのは、ちょっとおもしろい。そういえば、新撰組の斎藤一と文豪の夏目漱石は、東京高等師範学校という職場で同時期働いていたようだ。一方は名を変えての守衛、一方は金之助の名前で英語教師としてだったが・・。
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