トキナーのFIRINは時代の文化を活写するレンズなのだ

  文化とはなんだろうか。と言われても困るかと思うが。一応の小市民的な回答を述べるとしたら『その時代、時代の習俗である』などど、わかったようなわからないような回答をして誤魔化すのが小心者の特徴である。だが、ただひとつ言える確実なことは。文化というのはその時々に生きた人間が作り上げたものであることだろう。

フィリン.JPG もっとも人が作るもの、といったところで具体性はない。○○文化といった場合は、それを象徴するファッションなりモノが必要になる。例えば、戦時中の庶民の生活を表すものとしては、モンペファッションだったりする。当時の女流作家は、これが地味すぎるので自分たちの好みの色に染めて履いていたらしいが、ともかく相対的に節約ムード漂うファッションであった。もっと言えば、元禄文化といえば、絢爛豪華な狩野派の美術作品を思い浮かべる。いずれにしてもモノで体現されるということだ。これは逆に考えると、モノを見れば文化がわかるということでもある。もっと言えば、モノそのものを提案することで、その時々の曖昧なる文化を表現して明確化することが可能ということになる。

 そんな商品が、トキナーレンズのFIRINだ。このレンズが明確化したいのは、ずばり今後のミラーレス文化というものだ。ミラーレスカメラといえば、当初こそはフルサイズの一眼に対して、お手軽な品というイメージが強かったのだが。その後、幅広い一般カメラファンへの浸透とともに、もはや独特のスタイルを持つカメラ機材の一分野としての地位を確立しつつある。また、プロでも普通に使用する人も出始めている。そんな新たなカメラ文化を表しているのがFIRINである。マニュアルフォーカスで、大口径F2かつ広角レンズでありながらコンパクトな形状を実現。高画質ながら、お手軽でかつオシャレだ。

 実は、このレンズが昨年に発表された当初は、文化を明確化するほどのものだとは思っていなかった。ケンコー・トキナー主催の記者発表会に出たのだが、スペックの説明などを聞いていても、トキナーがマニアックなレンズを出した、といった感覚しかなかった。不才のこちらとしては。だが、このレンズ開発の背景にある文化を担うというストーリーを企画担当者に聞いたところ、こちらもようやく、このレンズの深さが肝にズシンと来た、といった感じである。ケンコー・トキナーでは、最近では動画によるPRなども行っており、この商品の背景のようなものをPRしている。かなり注目したい。

 まさに、トキナーのFIRINは文化を活写するレンズ、なのだ。

 しかし・・所属している業界紙のほうで、このレンズの取材の際に企画担当者と久しぶりに会った。FBなどの書き込みからも感じていたのだが、非常に該博な知識をもったグローバルな人材であった。久しぶりの取材なのだが、妙に熱気も伝わってきた。良い年の取り方をしてきた人だなぁ、とつくづく思った・・。
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