ベルボンは野鳥観察・分野で一般方向に進み邁進するのだ

 業界紙にほうにも書いたのだが、戦時における指令のひとつに『一般方向 〇〇』というのがある。この〇〇の部分が肝で。例えば、一般方向 自陣、という指令であれば。各自陣形を崩して散って、思い思いに前方の自陣を目指せ、ということになる。一般方向 敵将、となると敵の大将に向かって、各自突進せよ、となる。

 BIRDERS PRO_638_1600.jpg戦況によっては、形式的な集団行動になどにはこだわっていてもしかたない。柔軟に動くのがプラスになる。また、やはり業界紙のほうにも書いたが。この一般方向の動きを最も得意とした戦国武将が上杉謙信だ。ライバルであり、たびたび戦となった武田信玄などというのは、どちらかというと陣を研究しがっちりと踏襲する秀才型だったので、フレシキブルに動く天才型の謙信は実に嫌な相手だったろうと思う。

この動きには、他の同時代の戦国武将たちも翻弄されている。織田信長などというのは、たしかに政治では信じられないくらいに先見の明があったタイプであるが、こと戦だけを見るとそれほど目覚ましいものではない。桶狭間の戦い、が天才的な戦術のように言われているが、あれは周到に計算されてのものだと近年明らかになっている。それ以外の戦を見ると、だいたい物量や兵器で圧倒するパターンが多い。事実、信長と戦った謙信は、たいしたことがない、とコメントを残している。また、信長のほうも、謙信が戦を仕掛けてくるのを最も恐れていたという。

一方、戦国の覇者である家康はどうかというと。これは、武田信玄を尊敬しているだけあって、秀才型の陣形を組んだパターンが多い。が、唯一といっていいほど、一般方向で進め、的な動きをしたのが三方ヶ原の戦いということになる。これは、結果として負けたが、他の大名諸氏に東海道に徳川家康あり、との評価を受けることになった。

このように、これまでの概念や形式を捨て去り、一般方向に散って進むことは大事だということだ。だが、妙に経験を重ねるとこれができなくなる。成功体験というやつに固執するからだ。なので、老舗的な立場の軍なり企業が、これをやる姿には感心する。

そのひとつが、ベルボンである。言わずとしれた三脚の老舗だが、スワロフスキー製品の販売を手掛けたのをきっかけに、野鳥観察や撮影の分野に邁進している。しかも、SNSを駆使したり、様々なイベントに出展したり、野鳥分野の商機をものにするというゴールに対して一般方向で、我武者羅に進んでいる感じがする。専用の品であるバーダーズプロという製品まで市場に提案している。

まさに、ベルボンは野鳥分野へのビジネスへの勝機に向け一般方向に進んでいる、のだ。

しかし、さすがだよなぁ。本来は、老舗にはできない動きだよな。もっとも、この動きが必要なのは企業だけではない。個人にも言える。人は、ある目標を達成するとき、あるいは行き詰ったときは、フレシキブルに一般方向に進む、ということが必要なんじゃないだろうか・・。
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